公開講座「建築と庭」

公開講座「建築と庭」
日時:2019年3月30日(日)
会場:メルパルク京都6階「鞍馬」の間
登壇者:横内敏人(横内敏人建築設計事務所・京都造形芸術大学教授)、大北望(大北美松園)、植久哲男(「住宅建築」元編集長)、豊藏均(「庭」前編集長)
共同主催:京都鴨川建築塾 https://www.facebook.com/kamogawajuku/
庭連 http://niwaren.jp/

去る2019年3月30日、メルパルク京都にて京都鴨川建築塾・庭連共同主催による公開講座「建築と庭」を開催しました。本来切っても切れず、互いを高め合うべき建築と庭の関係性を探り、緑豊かな暮らしの空間がどうすれば街全体の美しさにつながっていくのかをテーマとした講演及びパネルディスカッションには、満員御礼約140名の聴衆が集まり、関心の高さが伺えました。常々、庭の重要性を訴えておられる建築家横内敏人氏と、時には建築に踏み込んだ提案もされる造園家大北望氏の講演は、それぞれの設計手法や今日に至る歩みのみならず、思想や哲学もにじみ出る深い内容となりました。

公開講座「建築と庭」

開演前、配布資料

公開講座「建築と庭」

満員御礼の会場風景

横内氏の講演では「家の中は森のように、庭は家の中のように設計する」や「庭と家は同時に設計する」といった言葉で設計手法を表現されました。また、これまで大北氏と協働した案件では、植栽の的確さもさることながら「無作為という作為」という作法に大変感心したとのことでした。最後の「自然と共に生きることが最も大切であるという新しい時代の哲学表現としての庭」という言葉は印象的で、時代と共に庭の持つ意味合いが変わってきている中、これからの時代に即した自身の哲学を構築し庭に込めていかねばと感じました。

公開講座「建築と庭

横内氏のスライド上映

公開講座「建築と庭

横内氏による講演

次に登壇された大北氏は開口一番、「庭に独自性、オリジナリティを持たせる」ことの重要性、そしてそのための手立てとして「物事の本質を知る、根本を見つめ直す」ことの必要性を訴えられた。庭は成長し変化していく、その中で普遍性のある庭。つまり「骨格のある庭」を作ることが肝心であると話され、想いの籠もった庭を実現するためには図面やスケッチなどのプレゼンテーション力が必須であることも強調された。その為には常日頃からスケッチなどで紙上での試作・構築を重ね、自身の考え方を整理し、依頼があって即対応できる準備が肝要であると語られた。思えば大北・横内両氏ともスケッチブックへの書き込みはすさまじく常々紙上での試作を重ねることの重要さを暗に示されているように強く感じました。

公開講座「建築と庭

大北氏のスライド上映

公開講座「建築と庭

大北氏による講演

後半は、「住宅建築」の元編集長である植久哲男氏と「庭」の前編集長の豊藏均氏を聞き手に迎えたトークセッションを行いました。中でも横内氏の「空気や食べ物は植物が作り出し、植物のあるところ水もある、それは人間にとって必要な要素であり、本質的な部分ではないか。」という言葉には胸を打たれた。この奥深く、長い時間を使っても語り尽くすことの出来ない一言が建築家である横内氏から出た事に驚くとともに、庭の持つ無限の可能性と広がりを感じました。終盤、植久氏が「建築家が何をやっているか、庭師がなにをやっているか、お互い周りの人と話すことから始めて理解を深め、協同していこう」と話され、今後の展開を期待しつつ講演会は幕を閉じた。

公開講座「建築と庭」

パネルディスカッション(横内氏・植久氏)

公開講座「建築と庭」

パネルディスカッション(豊藏氏・大北氏)

思えば数ある建設業種の中でも多種多様の材料や工種を総合的に統括し、空間を作り上げる業種は建築と造園だけではないでしょうか。建築家と造園家が協働することで緑豊かな美しい建物が一軒、二軒と増えることで今の街並みがより美しい街並みに変わる。その可能性を我々は手にしているということを再認識しました。今回の講演会が自分自身も含めこれからの建築・庭を担う方々の一助となれば幸いです。

公開講座「建築と庭」

講師陣(豊藏氏・大北氏・横内氏・植久氏)

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