庭連東北研修会 「東北の景色に庭を見る~庭における”らしさ”とは~」

庭連東北研修会

東北の景色に庭を見る
テーマ『庭における”らしさ”とは』

名称:庭連東北研修会 東北の景色に庭を見る 「庭における”らしさ”とは?」
会期:2019年11月10日  オプションツアー 11日及び12日
会場:ベネシアンホテル白石蔵王
主催:庭連東日本支部

 

2019年11月10日、日本百名山の一つ蔵王連峰を望む宮城県白石市にて東北の景色に庭を見る『庭における”らしさ”』を題とした研修会を実施いたしました。

北は岩手県、南は愛媛県と日本各地の20代から60代までの幅広い年齢層の方々にご参加をいただきました。

べネシアンホテル白石蔵王にて開会式挨拶の後、講師 豊藏氏による『庭における”らしさ”とは』の講演。

豊藏氏 講演 『庭における”らしさ”とは』

木を植える意味や目的、庭を構成する様々な要素など技術ではなく根本となるものを独自の図などを使いわかりやすく解説。「何のために生まれてきたのか」その問いと答えに人生と庭の本質を考えさせられ、とても感動しました。

 

豊藏氏 講演 『庭における”らしさ”とは』

参加者と意見を交えながらの講演は豊藏氏ならではです。僕自身、初参加の際に緊張していましたが適度に緊張がほぐれ、より考え、集中し講演に望むことができました。

 

講師 大北氏による『東北の景色に庭をみる』庭における”らしさ”とは の講演。

講師 大北氏による『東北の景色に庭をみる』庭における”らしさ”とは

大北氏の作庭現場をスライドで拝見しつつ、スケッチブックや図面、案の段階から完成に至るまで、その後の管理のことや独自の手法も惜しみなくご説明くださいました。

参加してくださった方達にたくさんつかんで帰って欲しいという想いを感じる、迫力のある講演。

 

講師 大北氏による『東北の景色に庭をみる』庭における”らしさ”とは

実際のスケッチブック、手書きの図面に皆さん夢中になって拝見しておりました。庭を実現するために図面やスケッチなどのプレゼンテーション力の必要さ、作品にどれだけの熱量や思いが込められているかを感じ、感化されました。一日一絵のお話など、常日頃からアンテナを張り続け準備をし、研ぎ澄ませることがいかに大事か痛感致しました。

 

活動報告

庭連西日本支部 活動報告 「第36回大宰府市民政庁まつり」

庭連西日本支部 活動報告 「第36回大宰府市民政庁まつり」

会期 2019年10月4,5日
会場 とびうめアリーナ 大宰府市総合体育館

 

庭連東日本支部 活動報告 「移設型オブジェ『会遇』 狭山元気プラザ」

庭連東日本支部 活動報告 「移設型オブジェ『会遇』 狭山元気プラザ」

会期 10月19日~12月末予定
会場 狭山元気プラザ

今回が8回目となる講演会ですが、庭連がどんな団体でどんな活動をしているのか、自分たち自身に講演会がどう生かされているのか、今年の活動報告。

東と西で分かれている庭連ですが、良い意味でのライバル意識があり切磋琢磨し合える関係だと思います。

 

ながさわ建築設計事務所 長澤氏 講演
『コーヒーのあいまに 地域の未来を考える土地の売り方、家の作り方』

ながさわ建築設計事務所 長澤氏 講演
『コーヒーのあいまに 地域の未来を考える土地の売り方、家の作り方』

日本の人口推移や着工件数など様々な情報から現在を解説し、これからの暮らし方などをお話いただきました。

建設側の方からの目線や庭に対する思い、考えはとても新鮮で学ぶことがたくさんありました。

次の世代に少しでも明るい未来を残す長期的な取り組み、建築と庭で緑溢れる豊かな暮らしを実現する。

その可能性は参加した皆さんにあると思いました。

 

懇親会 べネシアンホテル白石蔵王

講演会終了後は会場を移し懇親会を開催致しました。
懇親会 べネシアンホテル白石蔵王

二次会会場 うんじゃらげ

二次会会場 うんじゃらげ
懇親会、二次会では、講師のお二人に直接質問をできる場がありとても貴重な時間でした。初めて会う仲間たちと、地域の違いや今回のテーマである『らしさ』についてなどの庭話。とても有意義な時間となりました。

 

翌日の11日及び12日は希望者のみのオプションツアーとなりました。

大蔵山スタジオ様 見学

丸石、端材の石、柱のような石、素材を感じ、発想し、庭に繋げる。

材料との触れ合いを感じながらの見学。

 

写真の大きな石は業者などへは卸さず、このようにまつることにしたとのことです。

というのも石には神様が宿っているはずで、「私達は石から命をいただいている」とおっしゃっていました。

石に対してどんな思いで接しているのかその一言で理解し、考えさせられました。

 

山堂サロンにて昼食。

囲炉裏で暖をとりながらのトークセッション。「自分にとって植木とは。どう思い、接しているのか。」

自然の良さや怖さ、感動と畏敬の念。日本各地、幅広い世代での話し合いは大いに盛り上がりました。

 

よっちゃんの庭工房様 見学

よっちゃんの庭工房様 見学

小畑さんと言えばモミジ。町の中に佇む、心地の良い空間。小畑さんらしさを植木や石積み、細部から感じました。

 

四季の宿みちのく庵様 見学

四季の宿 みちのく庵 様

前日入りした両氏がご宿泊なさった旅館。お部屋から眺める風景は格別なものでした。

さらに空間の質を高めるには「少し植木を傾けてお辞儀をさせて、お客様を迎える。植木にもおもてなしの心を」など。

廊下からの眺め、寛ぎスペースからの眺め、庭だけではなく、アドバイスは建築なども含めた空間全体に及びました。良い空間にするのに庭だけではなく、建築も勿論大事だと話す大北氏。

考え続けること。家と庭の関係。

また自分の作庭現場を見ていただき、意見を聞くことがいかに必要か感じました。

 

ブルームビルド株式会社様 見学

ブルームビルド株式会社様 見学

完成当初見学させていただいたこともあり、2度目の見学。裏側の庭は別世界で完成当初よりも馴染み、飛石は苔で見えなくなるほど繁殖していて、より素晴らしい空間だと感じました。小畑さんの植木の扱い、植栽配置、が僕はとても大好きで純粋に美しいと思いました。またとても心地よい具合に管理されているのを感じました。

 

沢乙温泉内海旅館様 見学

沢乙温泉内海旅館様 見学

周囲が真っ暗の中、照明が心地よく空間を照らしていました。駐車場、部屋、廊下など様々な視点から、こうしたらもっと良くなると両氏から小畑さんへ。旅館も多く作庭してきた大北んから小畑さんへのアドバイス。

旅館の庭の深さ。両氏の小畑さんへの熱い期待を感じました。

僕自身、見学させていただき、小畑さんの人柄、スケールの大きさを感じるとても美しい場所だと思いました。

庭だけではなく、アスファルトのヘリや形もやわらかく、自然と馴染むようにされているのに驚きました。

 

岩手県九戸郡 山採り植木見学、仕入れ

早朝4時に沢乙温泉内海旅館を出発し、岩手県へ。道中の紅葉。ではなく黄葉が素晴らしく、植生の違い、東北の人には当たり前の風景ですが、埼玉から来た自分には東北らしさを感じる風景でした。

現地に着き、軽トラの荷台に乗り、山の中へ。大北さんもお話していましたが、山採りは山の環境を壊すものだと思っていました。山採り植木には魅了されるものがありますが、現地は一体どうなっているのか、自然を破壊しているのか。実際は写真のように木が混んでいるの中のものを採るもので、山を切り崩したり、はげ山にするわけでもなく、人力と小型ユンボで山の急斜面から植木を掘り運ぶという、とても労力がかかり、山を傷つけないものでした。

木を採っても自然は数年で戻るとお話しする小畑さん。植木に対する深い思い、情熱があるから、見学させていただいたようなお庭が作れるのだと感心しました。

実際に現地の産出場所に行くことでわかること、感じること、経験したことが自分の中に残り、必ず力になると思いました。

 

べネシアンホテル白石蔵王にて集合写真


本質を学び、極秘である図面やノートブック、技法を出し惜しみなく、公開してくださる講演会。

懇親会、移動中、見学中、両氏とお話ができる貴重な時間、体験。

思いや質問など、すべてに答えてくださいました。

何を身につけなければならないか、そのためにどんなことをどうすればいいのか。

参加者全員の胸に響いたと思います。

参加者のみなさまありがとうございました。

ベネシアンホテル白石蔵王様

大蔵山スタジオ様

四季の宿 みちのく庵様

ブルームビルド株式会社様

沢乙温泉内海旅館様

見学させていただき、ありがとうございました。とてもお世話になりました。重ねてお礼申し上げます。

文-TAiRiN 大輪龍志 28歳

 

実際のスケジュール
2019年11月10日

13:00 開講 庭連代表 先生方の挨拶
13:10 作庭概論 庭における”らしさ”とは 講師 豊藏 均氏
14:20 ノートブック、設計図書、映像による解説 講師 大北 望氏
18:00 庭連活動報告 ながさわ建築設計事務所 講演 長澤 直子氏
19:00 閉講
19:30 懇親会

2019年11月11日

09:00 大蔵山スタジオ見学 昼食 トークセッション
13:30 よっちゃんの庭工房 見学
14:00 四季の宿 みちのく庵 見学
15:30 ブルームビルド株式会社 見学
17:00 沢乙温泉内海旅館 見学 解散
18:00 松島観光 円通院見学
20:30 沢乙温泉内海旅館 食事

2019年11月12日

04:00 解散
08:00 岩手県九戸 山採り植木見学 仕入れ
12:00 仙台駅にて昼食 解散

庭連研修会アンケート結果
参加人数 28名 (男性24名女性4名、うち庭連9名)
参加者職種
造園業 27名
建築家 1名
参加者出身地
宮城県 12名
埼玉県 5名
岩手県 4名
栃木県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、香川県、愛媛県 各1名
アンケート内容
① 今回の研修で一番良かった内容と理由(見学会・発表会・大北先生の講演・豊藏先生の講演)
② 今回の研修の費用と場所について(高いor 安い・遠いor 近いなど)
③ 今回の研修で悪かった点(気になったところなど何でも率直なご意見をお聞かせ下さい)
アンケート結果
① 今回の研修で一番良かった内容と理由
(見学会・発表会・大北先生の講演・豊藏先生の講演)

・見学会においての建築から見る庭の考え方がとても勉強になった。

・室内から見る違和感や一体感。どんな造りが人にとって心地よいのか。色んな方向からの見る目や柔軟性、よい庭を造るための必要な知識をたくさん教えて頂きました。

・図面を使った講演、見学会。庭造りに対する理由や意味が聞けた。

・原図を拝見できたこと。一つの庭が完成するまでの検討、プランの変遷など、大北先生のエネルギーに、直に触れる事が出来ました。

・豊藏先生の何のために生まれてきたのかという問いに、人生と庭の本質を考えさせられ、とても感動いたしました。

・今回の東北研修会のテーマである「庭におけるらしさとは」を掘り下げた大北先生の講演、スケッチブックや図面、一日一絵のお話など、一流の物を創るのに、依頼が来てからではなく、常日頃からアンテナを張り続け準備をし、研ぎ澄ませることがいかに大事か痛感いたしました。

・一日一絵を続けていきたいと思います。

・一つに選べないほど、とても勉強になった。長澤さんのお話し、是非設計の方、お施主さんに伝えていきたい。

・隙が無いように見えた小畑さんの造った庭も、先生方からみれば改善点が多く、ご指摘がなるほど確かに。と納得させられました。

・大蔵山スタジオさんにて、皆で火を囲み、先生方から的確なアドバイスを参加者に頂けたのがよかったです。

・何事も掘り下げて考えていけるよう日々精進します。

・大北先生の庭に対する考え方、そこからできた庭の形、その場所で見せたいものがあり、その一つ一つにメッセージがあること、自分の庭造りに生かしたいと思いました。

・豊藏先生の自然と人をつなぐ部分が庭であるというお話が好きで、自分の仕事に意味があって、必ず必要な仕事だと思えました。

・図面を見せて頂いて、大変に勉強になりました。

・オプションツアーがとても充実していました。

② 今回の研修の費用と場所について(高いor 安い・遠いor 近いなど)
・お金を払っても見られない部分があったので高いとは思いません。

・費用 適正
場所 よい。今後もっといろいろな場所でするべきです。

・地元宮城だったので、ありがたい研修会でした。

・運営側の都合があるので、場所や金額も相応だと思います。良い機会でした。

・費用は普通だと思います。遠くなく、アクセスが良い場所だと思います。

・駅から近くていいと思います。

・安いと思います。

・高い。

③ 今回の研修で悪かった点(気になったところなど何でも率直なご意見をお聞かせ下さい)
・ノートを取るような受動的な講演ではないので、机は必要ないと思いました。その分椅子だけにして、受講者と講演者の距離を近くして、生のリアクションや、活発な意見交換がしやすい距離を保つのも一案かと。

・懇親会には参加できないため、講演の時間がもう少しあるとうれしかったです。

・さらに積極的な告知(宣伝)があっても良いのではと思います。

・やはり実物も見てもらいたいことと、少し細かいところ(石などの向きや位置、配置する時のポイント)等あれば、来ていただいた方も、喜ぶかと思いました。

・参加人数が前回よりも少ないこと。東北で行う研修会。小畑さんの作庭現場がみられる機会。テーマが「庭のらしさ」という事を考えると、県外や関東よりも南の人にも、もっと参加していただきたかった。

 

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