令和という新たな時代となりました。
今回の狭山市のプロジェクトにあっては平成最後の年から打ち合わせを始め、平成最後の月である4月に実際の活動をスタートすることができました。
まさに平成と令和をまたぎ活動をしていくという、一生に一度しか経験できないであろう時代背景に何か特別な思いを感じることとなりました。
平成という過去から現在の令和、そして次の時代である未来へ向かってこのオブジェが残ってくれるよう、いや,形は残らずとも人の心に何か残ってくれるものでなければならない
、やる意味がないと痛感しました。
年号が変わることではじめは何も考えていなかったけど、新たに自分にプレッシャーをかけ始めてしまいました。
そのことについて書いていると益々プレッシャーをかけてしまうので話を変えましょう。
今回のオブジェは2つのパーツで制作していきます。前回のブログでも説明しましたが、
陰陽太極図を参考にしました。陰、陽の2つのパーツを石積と苔の築山で表現します。
重く、硬く、動かない石と対極する軽やかで柔らかく、成長する緑とで陰と陽を表し、そして石と緑を組み合わせることで「庭」という空間になることを庭連として世の中に伝えていきたい。
石は茨城県の御影石を使います。この茨城県は日本三大石材の産地なんです。
茨城県の真壁、愛知県の岡崎、香川県の庵治
そんな有名な石が同じ関東であるので使わない手はないでしょう。
茨城県までなら日帰りで仕入れができ、それに御影石は加工がしやすい。
石の産出が少ないこの辺りでは御影石は造園材料としてすごく身近で、この使いなれた御影石をつかい、勾玉のような形の石積を製作していきます。
大きな原石を割って、ノミでたたく、石の表面はすべて手ノミで仕上げる。
大人数でひたすらノミでたたく、
今回のポイントはここにある
作業のメンバーの経験値も違い、最初はうまくノミが叩けない人が必死にノミをたたく、いろんな想いを込めて各々が石に向きあうことによって、その思いは必ず石に乗り移る。そこが今回の作品のテーマである「想い」とつながってくる。
その想いには前提が必ずある
前提づくりとしてなるべくゼロからスタートしたかったので、みんなの反対を押し切って
石の加工をセリ矢、コヤスケ、ノミの手作業と限定して始めさせてもらいました。
もちろん庭連メンバーの中には石の加工のスペシャリストもいるし、経験豊富なメンバー
もいるのでいろんなアイデアを得ることはできます。
でも今回、自分は発案者になった時点で、まずは己の想いを貫こうと決めていたのでゼロからスタートを始めさせてもらいました。
紆余曲折があったほうが作品にいい影響をあたえる結果になる
それを学んだのは、とある団体での作品づくりの経験から感じたものでした。
その作品のスタート時点ではそのメンバーの中にも「こんなんできるわけないじゃん」「どうやってやるの」という声も聞こえるほどでしたが、問題が起きる中、徐々に形になっていく過程を経験しそして完成した時、人の想いと行動でどんなことでも可能だと感じました
とはいえ4月の活動初日に石を加工した時点でやっぱり人力作業のみだと無謀だとみんなからいびられ、自分自身も痛感しました。
普段仕事をしていくうえで工程管理は重要になってきます。この仕事をどんなやりかたで
どれくらいの日数かかるのか、それによって無理なく作業をおわらせることができる。
でもものづくりにはこの工程管理は必要ない、というと怒られそうだけど想定内の作品作りでは想定内のものでしかできないのではないでしょうか。
想定外のものをつくる
それにはできっこないものに挑戦しなければならない。
それが石の加工に関して機械を使うか使わないかを判断基準にしていたんだけど、
どうやら大まかな石の加工に機械をつかったとしても十分すぎるほど想定外のものだということが判明しました。そんなの最初からわかってたじゃんってどっかから聞こえてきそうだけど…。
一難去ってまた一難、石の荒堀にも相当の労力がかかる。でもその都度メンバー内で話し合い、試してみてはまた問題にぶつかる。
後ろから迫るものと闘いながら、むしろその方がいい精神状態で挑めるのかもしれない
さて令和になって最初の活動が11、12日にあります。
石に遊ばれないよう、戯れたいと思います。